料理酒と本みりんと酒税法
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料理酒と本みりんと酒税法
和食の定番の調味料に料理酒とみりんがあります。 食材のニオイ消しや旨味づけなど、和食のあらゆる場面で活躍する万能の調味料だと思っています。 『料理酒』や『本みりん』にはアルコールが含まれています。
これらと酒税法のお話をしてみたいと思います。
お酒とそれ以外
実は、『料理酒』はお酒ではないと聞いたら、意外でしょうか?
名前にお酒とついているのに、料理酒はお酒では有りません。 実際、軽減税率の対象であり、税率は 8%です。 未成年者であっても問題なく購入可能ですし、販売免許もありません。
逆に、『本みりん』はお酒といったら、こちらも意外でしょうか?
お酒と名前についていませんが、税率は種類の10%であり、 未成年者は購入できず、販売に免許が必要です。
直感と異なるこのお話をしてみたいと思います。
料理酒
料理酒というのは、厳密に酒類では有りません。
なぜお酒という名前がついているのに、酒類ではないのか? それは、料理酒には不可飲処置という処理がされています。
料理酒を飲んだことある人はなかなかいないと思いますが、料理酒は飲めません。 (興味ある人は少しだけなめてみてください)
これは、塩などによって不可飲、つまり飲めなくなる処理がされています。
飲めないから酒類ではないのです。
飲めないから軽減税率の対象ですし、未成年者が買っても飲めないから問題がなく販売できるのです。
本みりん
逆に本みりんが酒類という話はあまり知られていません。
日本酒も本みりんもほとんど同じプロセスによって製造されています。 日本酒は世界でも珍しい2段階発酵を行うお酒です。
ワインなどを考えていただくと分かりやすいかと思いますが、通常のお酒は甘いジュースがアルコール発酵したものです。
日本酒は、お米が原料であり、お米が麹によって糖類に変化し、糖類が酵母によってアルコールに変化します。
みりん(本みりん)の製造方法とは?なぜ甘くなるの? - 本みりん研究所
みりんは、麹によって糖類に変化し、酵母によってアルコールになる前の段階です。
なので、本みりんにはアルコールが含まれています。 アルコール度数は 14度ほどありますのでれっきとした酒類となるのです。
そのため、酒類の10%課税や、販売の免許が必要になります。
ちなみに、『みりん風調味料』は『本みりん』ではないので、こちらは未成年者や免許不要で販売できます。
NHK伝説のみりん梅酒
さて、ここからは小話になりますが、2007年放送のNHKの番組、 『きょうの料理』で我が家の『みりん梅酒』が紹介されたことはご存知でしょうか?
これ、完全な密造酒で酒税法違反です。
伝説のみりん梅酒 - ニコニコ動画
果実酒というと梅酒など多くの家庭で作られています。 なぜ、梅酒は問題なく、みりん梅酒は違法なのか?
簡単にいうと、原料に使うアルコールの度数によります。
梅酒を作る際のお酒には、よくホワイトリカーが用いられます。 ホワイトリカーの度数は 35度から45度程度です。
梅の表面には天然の酵母が死滅し、アルコール発酵は起こりません。 そのため、ホワイトリカーを使った梅酒ではアルコール度数は上がらず、密造酒にはならないのです。
しかし、本みりんを使った場合は異なります。 本みりんのアルコール度数では、使った梅はその糖分によりアルコール発酵します。
度数が元のものより上がるため、これは醸造にあたり、酒税法に抵触するのです。
まとめ
意外に知られていない料理酒や本みりんの酒類に係る話をしてみました。
購入品の『名称』を詳しく見る人は少ないと思いますが、名称は法令で定まっているため調べてみると面白いです。 買った食品などの名称、いろいろ調べてみると新しい発見があるかもしれません。
以上
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