金や銀の起源
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金や銀の起源
貴金属というと地中深くから採掘されることは有名です。 しかし、その起源は? というと詳しく語られることが少ないと思います。
そういった、金や銀といった重元素の起源について話したいと思います。
物質の始まり
すべての元素は陽子と電子で作られた最も単純な元素、水素から始まります。 宇宙を満たす元素は水素であり、水素が重力によって集まって核融合反応が始まり恒星となったことから様々な元素が作られ始めます。
そんな元素の、作られ方についてお話いたします。
軽元素と重元素
あまり天文学意外では聞かない言葉かと思いますが、軽元素と重元素という分類について聞いたことはありますでしょうか?
明確な定義は有りませんが、ここでは軽元素を鉄より原子番号の小さい元素。 重元素を鉄より原子番号の大きい元素と定義して話を進めたいと思います。
なぜ、鉄より軽いか、重いかで元素の呼び方を変えるのか。 それは、この世で最も安定している元素は鉄であるためです。
軽元素は核融合によってエネルギーを放出します。 水素やヘリウムなどのように恒星の中心でエネルギーを生み出しながらより重い元素に成長します。
重元素は核分裂によってエネルギーを放出します。 ウランやプルトニウムが核分裂炉によって電力などのエネルギーを生み出しています。
この、融合と分裂の中心、もっとも安定している点が鉄になるのです。
構成による核融合
太陽などの恒星では、水素などの軽い元素をエネルギーとして核融合によってエネルギーを生み出します。
太陽では、水素同士の核融合でヘリウムが生成されている段階です。 太陽ではヘリウム4 (中性子2陽子2の元素) で反応が停止すると言われております。
しかし、太陽よりも巨大で重い恒星ではその重力が強く更に核融合が進みます。 炭素、酸素などの原子合成が進み、最終的に鉄が作られて合成が終了します。
恒星の中心では鉄より軽い元素が作られるのです。
では、鉄より重い元素はどのように作られるのでしょうか?
それは、超新星爆発という恒星の最後、死ぬときの大爆発のエネルギーにより合成されると言われています。 核分裂により取り出されるエネルギーは、超巨大な恒星が死ぬ際のエネルギーなのです。
太陽系の起源
太陽系は最初の恒星系では有りません。
最初にも書いたとおり、宇宙空間を満たす元素は水素であり、太陽系が最初の恒星だとするとその惑星は木製のようなガス型惑星(水素だけで構成された惑星)になるはずです。
ところが、現実は異なります。
水星、金星、地球、火星などは鉱物(二酸化ケイ素や鉄など)を主体とした鉱物惑星です。
ケイ素などは鉄と同様に安定しているため、その原材料は惑星の中心で最後に合成されたものだと考えられます。
また、地球の中には金、銀、ウランなどの重元素が豊富に含まれております。 これは太陽の前にあった超巨大恒星がその最後の超新星爆発時に生み出したものと考えられています。
鉄を合成する過程を『ケイ素燃焼過程』とよび 太陽質量の 8-11倍の恒星で起きると考えられています。
鉄より重い元素の合成は、太陽質量の8倍以上の恒星で発生します。 しかし、太陽質量の30倍以上の恒星ではその後ブラックホールになって周囲の物質を吸い込み初めてしまいます。
太陽系の始まり前
現在の太陽系の前には、少なくとも太陽質量の 8倍以上の恒星があったと考えられています。 また、太陽系の近くにブラックホールは見つかっていないため、その質量は 30倍までは行かなかったのではないかと考えられます。
その恒星では、大量の水素を原料にしてケイ素や鉄を合成し、その最後の超新星爆発で 金、銀などの貴金属を含めた重元素を合成し、生涯を終えました。
その残骸から太陽系が生まれ、地球などを構成していると考えられています。
まとめ
よく貴金属というと、地球深くから取られる希少なものとして扱われます。 しかし、恒星や惑星の成り立ちから考えると、金や銀は恒星が最後の爆発をする際に合成される、 大変貴重なものということが分かります。
その輝きは、現在の太陽系では絶対に作ることが出来ない輝きなのです。
以上
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