January 28, 2021By Shirousa← Back to Blog

映像処理と特許使用料


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映像処理と特許使用料

昨今は Youtube などの動画配信が盛んであり、クローズドな用途でもビデオ会議やライブなどの有料配信が盛んとなっております。

こういった配信の配信者側に立った場合、特許に気をつけないと特許侵害となり、特許使用料(ロイヤリティ)を請求されることを知っている運営者、開発者は少ないです。

映像処理とロイヤリティについて簡単にお話をしてみたいと思います。

映像に係る特許

意外に知られていない事ですが、映像というのは常に特許によってがんじがらめ状態です。 より高画質で、より小さい映像を作るために多くの企業が研究を行い、特許を有しているのです。

そのため、複数の特許権者に対し、その特許のロイヤリティを支払わないといけません。 映像に関する規格は、複数の企業の特許技術によって成り立っているため、HDMI や H.265 といった規格を利用するためにはロイヤリティの支払いが必要なのです。

利用者としても製品購入時にロイヤリティの支払いしており、配信者側に立つ場合は配信のロイヤリティが発生する場合もあります。

HDMIの特許

身近なところでいうと HDMI 周りの特許があります。 HDMIは製品単位でロイヤリティが請求されております。 HDMIケーブルを買った場合、最大15米セント(15円程度)が特許料ということになります。

更に、製品を作るための年会費を各企業は毎年 10,000米ドル(100万円程度)支払っていますので、その費用は製品代の一部として利用者に転嫁されています。

複数の企業と契約を結ぶのは特許権者、利用者ともに不便であるためパテントプールという特許権管理会社が設立され、その会社と包括で契約を行うのが一般的となっています。

HDMIというと、テレビなどに標準でついている規格ですが、こういった身近な製品であっても製品代金を通じてロイヤリティを支払いしているのです。

HDMI の競合企画として DisplayPort というパソコン向けの規格がありますが、こちらはロイヤリティが発生しません。

中には、ロイヤリティが発生しない製品もあるのです。

H.265の特許

HDMIなどは、権利団体が集約されているので実は簡単な部類のお話です。

H.265 (HEVC)と呼ばれる現在主流の動画エンコードが有るのですが、こちらの特許は複雑です。

こちらの特許は、3つのパテントプール(MPEG LA、HEVC Advance、Velos Media)と1つの権利会社(InterDigital)が権利を主張している状態です。

現在主流の動画エンコードで有りながら、これら3つのパテントプールと権利会社と契約を締結する必要があるのです。

このエンコード、主流であるだけにその利用には特に気をつけてください。

H.265、使うことはとても容易です。 ffmpeg などの動画エンコードソフトや、それを利用した アプリケーションなどから利用できます。

しかし、利用はできても権利関係が整理されていないことがほとんどです。

たとえば、個人の動画配信などで権利者からロイヤリティを請求されることは殆どないと考えられます。 しかし、企業として ffmpeg などで動画配信を行う場合、特許権者とロイヤリティ支払いに関する調整を忘れないようにしてください。

ffmpeg などはフリーソフトとして配布されているため、多くの企業などで使われています。 しかし、ロイヤリティについて知っている開発者や運営者が少ないため、ロイヤリティの支払いがないまま利用されている実体があります。

ソフトウェア自体はフリーであっても、ロイヤリティまでフリーではないのです。

まとめ

5G携帯電話網の拡大やテレワークの拡大などで、映像を使ったコミュニケーションはどんどん加速しています。

しかし、その根幹をなす映像は複雑な特許が絡んでいます。 あとになってから莫大なロイヤリティを請求されないためにも、映像の配信サービスなどを提供する際は、気をつけて利用をいただきたいです。

一番安全なのは、映像配信を専門とする企業に依頼することです。

以上

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